古金屋の日記

生まれた時にはスクラップ屋、そして今もスクラップ屋

名古屋プロパンボンベ爆発に思うところ

大変ご無沙汰になりました。

さて、つい先日の名古屋高速で運搬中のプロパンボンベが落下して

爆発し、3名の方が死傷するという事故が起きました。

まだ、詳細は分かっておりませんが、ある程度は予測できそうなので

個人的見解を述べてみようと思います。

①前方に渋滞の列があり、気が付くのが遅れ急ブレーキ、荷台のプロパンボンベが

 崩れて落下。落下したボンベから発火し、爆発炎上。更にその他のボンベも

 熱にあおられて爆発。

 

 ※そもそも急ブレーキで落下するような積み方に問題があります。

  基本積み方はブレーキで荷物は前に寄るので、前から鳥居に押し付けて

  詰めて積むのが基本です。また、前側に押し付けるように荷締めをします。

  この場合ですと、多分ラッシングをするのが当たり前。まして、ボンベの

  底は丸く滑りやすい上に高さもありバランスは良くないので、前側に

  押し付けて積むのが基本です。

  荷台の煽り(壁のような物)の高さもボンベの2/3ぐらいあるのならまだしも、

  半分程度の高さしかないようなので、急ブレーキですき間の有るボンベが前側

  に倒れこみ、前にあるボンベを発射台のようにして滑り出し荷台の外へ飛び出

  したと考えられます。

  町のプロパンボンベを交換している時に積んでいる車を見るとわかるのですが

  荷台の煽りの高さがボンベの2/3程度まであるので横転でもしない限りは荷台か

  ら落ちることはありません。また、後ろ側にはパワーゲートが付いており、

  これは半分程度の高さですが、荷締めをきちんとしていれば問題はありません。

  また、プロパンボンベが動かないほど詰めて積んであれば加速、減速で大きく

  動くことがないので落下の危険性はかなりさがります。

 

②プロパンボンベは落ちたくらいで火が付くのか?

  

  これも問題が感じられます。通常の家庭で使用されるのですからそんな

  間単に火が付いたら大惨事ですので、ある程度の安全性は考えられています。

  通常運搬時にはキャップと言われるバルブカバー(金属製)がねじ込む

  形で付けられています。荷台から落ちたくらいでは通常はずれません。

  はずれるようなゆるさでは付けている意味が無いのです。

  後はこのキャップの耐衝撃性ですが、高さ1~1.5mから真っ逆さまに

  勢いのついた状態での衝撃に耐えられるかどうかというと、無理だろうなと

  思います。

 

さて、ではなぜこのような事故が起きたのか考えてみたいと思います。

①プロパンボンベの積み方が悪い

②荷締めをしていない

③積み込み時にきちんとバルブが閉まっているか確認していない

④プロパンボンベの保護キャップをきちんとかぶせて閉めていない

 

これの複合的に重なり合って起きたものだと推測します。

これは未確認なのですが、このボンベは廃棄するものではなかったのか?

という事です。スクラップにする前提での回収でしたら運転手の危機感はかなり

薄いでしょう。通常のスクラップの考え方でいたらとても危険です。

なぜなら、これはプロパンガス屋なら知っていて当たり前の知識ですが、

バルブを開けて音がしなくなっても底に液化したガスが残っているという事です。

もし違っていたら指摘していただけると助かります。

会社からスクラップのボンベを積んできてと言われたのでしょうか。

例えばですが、新品のまったくガスが充填されたことのないボンベを製品として

相手先に納入、その帰りにスクラップにするボンベを積んでくる。

スクラップにするのだから中身は入ってないと考えてもおかしくないでしょう。

行きに運ぶのは危険物の許可もいらない本当の新品ボンベ。帰りはスクラップ。

これなら危険物取扱免許なくても行けてしまいそうです。

ちなみにボンベはきちんと寿命があるので、寿命に近くなったボンベはそのまま

廃棄されます。中身を回収するかどうかはその充填所次第という事になるのでしょうか。

そんな危険なボンベが荷台から飛びだし、道路に落下。

キャップが道路に当たり破損、同時に中のバルブ(真鍮製)も破損。

気温もそれなりに高いので残ガスが一気に噴出。

そこに次のボンベが落下した時の衝撃による火花が散りガスに引火。

最初のボンベが燃えている熱でそばにあったボンベが火にあぶられ爆発。

それが次々にというサイクルが繰り返されたものだと考えられます。

 

ではこれはどうすれば防げたのか。

①ボンベ自体はそれほど動かしにくい物ではないのできちんと前から

 詰めてすき間なく積んでいく。

②一番最後に前に押し付けるようにラッシング等の荷締め機を使用してボンベを

 動かないように固定する。

③残ガスがあるということを理解して、安全運転に努める。

 

現状考えられるのはこのようなことでしょうか。

 

何にせよ起きてしまった事故は元には戻せません。

亡くなられた方にはご冥福をお祈りいたします。

けがをされた方にはお見舞い申し上げます。

 

これを他山の石とせず、さらに気を引き締めていきたいと思います。